橋本病とは甲状腺に慢性的な炎症が起こる病気で、良くありがちな症状を起こします。聞きなれない病名かもしれませんが、女性に多い病気で、10人に1人はいると言われています。そんな橋本病と診断され、症状を改善した体験をまとめてみました。
女性に多い病気
橋本病は甲状腺の病気ですが、同じ甲状腺の病気としてバセドウ病があります。パセドウ病は甲状腺機能が高くなる病気ですが、一方の橋本病は機能低下が問題となる病気です。1912年に橋本博士がこの病気を発表したことで、橋本病と名付けられました。
20代後半から40代の女性に多く発症が見られる病気です。甲状腺は甲状腺ホルモンの分泌に大きく関わっており、甲状腺ホルモンは体の代謝に重要なホルモンです。甲状腺機能が低下すると代謝が衰え、毒素の排出もうまくできず太りやすくなります。
健康診断で発覚!
記録的な猛暑と言われた夏があり、私はひどい立ちくらみに襲われていました。座って立ち上がることができない、ふらついて歩けない……。暑さのせいだと思っていました。
そんな日が続き、たまたま行った健康診断で、「橋本病だね」と医師に言われました。「は?」って感じです。聞いたことのない病名で、難病のような響きに驚きました。
でも、調べたら割とよくある病気。立ちくらみもその症状だったようです。そして、夏が終わっても当然症状は収まりません。
自己免疫疾患
橋本病は自己免疫の病気と言われています。免疫は本来なら外からの刺激から自分の体を守る働きをするものですが、自己免疫とは、外ではなく自分の体に反応してしまうことです。橋本病は免疫機能が自分の甲状腺に反応して炎症を起こしているのです。
このような免疫過剰で甲状腺に炎症が起きて、甲状腺のあるのど元が腫れているのが特徴です。
機能は正常でも症状はある
橋本病と診断されましたが、特に治療は必要ないと言われました。橋本病では、実に9割の人が、診断されても甲状腺機能は正常ということで治療は施されていないと言います。でも、実際には私のように立ちくらみなどの症状で悩んでいる人が多いのが現状です。
また、炎症が大きくなると甲状腺の機能が低下する場合があり、症状もより重くなります。そうなると、甲状腺ホルモン剤の投与が始まります。また、その過程で甲状腺ホルモンが過剰になる場合もあり、厄介な病気でもあります。
原因と考えられるのは
自己免疫疾患は遺伝
甲状腺に対する自己免疫は、そのような体質であり、遺伝であるようです。私も、その遺伝子を持っていたわけです。ただ、そのような遺伝的体質であっても必ず橋本病になるというわけではなく、なんらかの環境因子があって発症すると言われています。その因子としてストレスやヨードの摂りすぎなどがあげられます。
ストレス過剰
日常生活の中で、ある程度のストレスは誰にでもあります。ただ、そのストレスが重なったり、家族の不幸などの大きなストレスがあると、発症の因子となり罹患しやすいようです。
私の原因は、母の死だったと思います。母が亡くなってすぐ猛暑の夏が来たので、暑さのせいと思ってしまったようです。ストレスは大きすぎると、ストレスという認識もなくなってしまうようです。頭の中では「けっこう平気」と思っていても、体は正直にストレスに反応するのです。
ヨードの摂りすぎ
ヨードは体に必要なミネラルであり、甲状腺ホルモンの分泌に役立つものです。主に海藻に含まれています。体にいいヨードですが、甲状腺ホルモンに必要な量はわずかで足り、逆に過剰摂取は甲状腺の機能を弱めると言います。甲状腺への自己免疫遺伝子を持つ人は、その摂取を控えた方がいいようです。
私の場合は、当時体にいいと思ってヨード卵を食べていました。海藻も、ローカロリーだからと良く食べていましたね。まさか、自分の体に悪いなんて思いません。今思えば怖いことですね。
私が行った症状改善
病院で治療できないのであれば、自分で考えるしかありません。立ちくらみの症状を改善するために様々な工夫をしました。
ヨードの摂取を避ける
ヨード類の摂取は極力控えました。海藻類のわかめ、昆布、ヒジキなど。昆布を使っただし類にも気を使いました。
ストレス解消
ストレスも解消するよう努めました。リラックス効果のある音楽を聴いたり、趣味の旅行に行ったり、楽しいことを探しました。友人との会話も増やし、交流を深めました。
体質改善
免疫の異常なので、それを正常化するためには体質改善です。自己免疫疾患は完治は難しいのですが、緩和はできます。運動と食事、規則正しい生活を徹底しました。運動はジム通いに家でのストレッチ、食事は野菜を中心にバランスよく、あとは早寝早起きです。疲労も残さないようにしました。
いつのまにか症状か消える
このような生活を続けているうちに、立ちくらみはなくなっていきました。今ではほとんど起こりません。橋本病のほかの症状もありません。のど元の腫れも、いつのまにかひいていました。
ただ、橋本病の因子を持っている間は油断は禁物です。生活習慣を守り、甲状腺機能が低下しないよう観察が必要なのは、今でも変わりません。
意外に多い橋本病、自覚症状があったら検査をしてみましょう
橋本病と診断された私の体験をまとめてみました。女性に多く、症状も女性にありがちな悩みに共通します。なかなか治らない症状があったら検査をおすすめします。なにより原因に気づくことが必要です。これから結婚、出産を予定する場合は特に検査が必要かもしれません。
橋本病と診断されても発症の要因であるストレスなどをうまく解消し、生活環境を良くしていくことで症状は改善されます。体験記が少しでもお役に立てれば幸いです。